前回、結婚した年から使っている家計簿の話をしました。お金の流れを記録する土台は、離婚前からありました。
でも、記録することと、正しく選ぶことは、別の話です。
離婚が決まって、これから娘と二人で生きていくと覚悟を決めたとき、私はまず、自分の入っている保険を見直すことにしました。
きっかけは、一冊の本でした。
岩瀬大輔さんの「生命保険のカラクリ」です。
著者の岩瀬さんは、当時、ネット生命保険会社の若き副社長でした。生命保険を売る側にいる人が、生命保険の仕組みの「裏側」を、自らあかしてしまう。そんな一冊です。
住宅に次いで人生で二番目に大きな買い物と言われる生命保険。なのに、多くの人が「どうせよくわからないし」と、内容をよく理解しないまま契約しています。かつての私も、そのひとりでした。
当時、私が入っていたのは、大手の生命保険会社の商品でした。月々の保険料は、約4,000円。正直、自分がどんな保障を買っているのか、正確には説明できませんでした。勧められるまま、なんとなく入っていたのです。
本を読み進めるうちに、目からうろこが落ちました。
「掛け捨ては本当に損なのか?」
「一生涯の保障は必要か?」
「保険は若いうちに入るべきか?」
こうした素朴な疑問に、業界の内側にいる著者が、ひとつずつ、率直に答えていきます。難しい専門用語の代わりに、拍子抜けするほどシンプルな結論が並んでいました。
貯蓄性のある保険は、保障と貯蓄がごちゃまぜになっていて、コストが見えにくい。
必要な保障は「めったに起きないけれど、起きたら家計が破綻する事態」に絞ればいい。
保障と貯蓄は、分けて考えたほうが、結局は合理的だ。
知らないから、なんとなく不安で、なんとなく大きな保険に入る。知れば、自分に本当に必要な保障だけを、自分で選べる。
この本は、私に、そのための目を開かせてくれました。
読み終えてすぐ、私は行動しました。
それまで入っていたソニー生命の保険を解約し、著者の岩瀬さんが副社長を務めていた、ライフネット生命の掛け捨て保険に切り替えたのです。
自分が学んだ本の、その本を書いた人の会社に入る。少し出来すぎた話に聞こえるかもしれませんが、これは狙ったわけではなく、自然な流れでした。著者が実際に手掛けている保険だからこそ、書いてあることへの信頼が、そのまま行動につながったのだと思います。
月々の保険料は、4,000円から1,000円台になりました。
差額は月に3,000円弱。年間で3万円以上。決して大きな額に見えないかもしれません。でも、この見直しには、金額以上の意味がありました。
生まれて初めて、金融商品を「自分の頭で判断して」選んだと言っても過言ではありません。
誰にも相談しませんでした。窓口の人に勧められたのでもありません。自分で学び、自分で比較し、自分で決めました。手続きを終えたとき、小さいけれど確かな手応えがありました。
私、自分でできるじゃないか。
この小さな成功体験が、次の、もっと大きな決断への助走になりました。
次回【第6話】は、もう一冊の本の話です。この保険見直しのすぐあと、私はもう一冊の本を手に取り、そこから私の人生を大きく変えることになる、ある決断に進んでいきます。
ここまで読んでいただきありがとうございます!

コメント